求人票の「就業時間」欄。始業・終業、休憩、フレックスタイム制の書かれ方を、応募前と内定後に確かめる
条件・お金手帳の来月のページを開いて、月曜の朝の欄に「送り 8:30」と書き込もうとして、ペンが止まった。応募を考えている会社の求人票は、就業時間の欄に「フレックスタイム制」と一行あるだけです。何時に着けばいいのか、何時なら帰れるのか、その一行からは決まりません。もう一社の欄には「9:00〜18:00」と時刻が並んでいて、こちらは分かりやすい代わりに、動かせるものなのかが分かりません。 この記事は、フレックスタイム制を勧めるものでも、働きやすい会社の見分け方を示すものでもありません。就業時間の欄の読み方と確かめる書面を、厚生労働省の資料に書かれていることと、編集部が読んだことに分けて並べます。
分かれ道マップ
いま、いちばん近いのはどれですか
近い状況を開くと、先に読む場所が出ます。
就業時間の欄で、引っかかっているのは、どれに近いですか
応募前 就業時間と休憩時間は、求人票に書く項目
求職者向けのリーフレット「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」の「最低限明示しなければならない労働条件」の表には、「就業時間」「休憩時間」「休日」「時間外労働」などが並び、記載例は「9:30~18:30」「12:00~13:00」です。一部を別のタイミングで明示できる場合も、原則、面接などで最初に接触する時点までに全てが明示される、「明らかとなっていない労働条件などがないか、面接等で求人企業に確認することが大切です」と書かれています。
ハローワークの求人票の見本(リーフレット「求人票の見方」)は、「労働時間」の枠に就業時間、時間外労働時間、休憩時間の欄があり、就業時間の欄は「変形労働時間制」の(1)(2)(3)か「〜の間の〇時間」を書く作りで、「就業時間に関する特記事項」の欄が続きます(画像で確認。数字は〇に置換)。見本の特記事項には、三つの勤務時間のどれかがシフト表で決まること、うち一つは休憩の長さが違うことが書かれています。「就業時間」の説明は、パートタイム求人の場合の説明として、「〇〇:〇〇~□□:□□の間の△時間以上」の表示でも、シフトの都合で希望の時間で勤務できないこともある、としています。取得した範囲では、フレックスタイム制の語は見当たりませんでした。
ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。就業時間の欄は、時刻、休憩、時間外労働、特記事項に分けて読みます。「フレックスタイム制」とだけあるときは、特記事項や本文に続きを探し、無ければ聞きます。
表は横にスクロールできます →
| 書き方の例 | 読めること | 求人票・面接・書面で確かめる点 |
|---|---|---|
| 9:00〜18:00 | 始業と終業の時刻。実働が何時間かは、この表記だけでは分からない | 休憩の長さと時刻。時刻が業務の都合で動くことがあるか |
| 〇時〜〇時の間の〇時間以上 | 働ける時間帯の幅と、最低の長さ | 希望の時間に入れるか。シフトの決まり方 |
| シフト制・変形労働時間制 | 複数の勤務時間帯やシフトが書かれることがある | 時間帯ごとの始業・終業。シフト表が出る時期 |
| フレックスタイム制 | 始業・終業の時刻を労働者が決める制度であること | コアタイムの有無と時刻。清算期間。総労働時間 |
| コアタイム 〇:〇〇〜〇:〇〇 | 必ず働く時間帯があること | 曜日による違い。休憩の時刻。自分の予定と重なるか |
| コアタイムなし | 必ず働く時間帯を設けない書き方 | 出社を求められる日や会議の時間帯。所定休日 |
休憩と「実働」の数え方
労働基準法第32条は、労働時間の上限を「休憩時間を除き」一週間について四十時間、一日について八時間と書いています。第34条は、労働時間が六時間を超える場合は少くとも四十五分、八時間を超える場合は少くとも一時間の休憩を労働時間の途中に与え、自由に利用させなければならない、と定めています。厚生労働省のよくある質問は、休憩は労働から離れることが保障されていなければならず、待機時間等の手待時間は休憩に含まれない、と説明しています。
ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。リーフレットの記載例「9:30~18:30」と「12:00~13:00」は、時刻の幅が9時間、休憩の1時間を引くと8時間です。時刻は休憩を含む幅で書かれることがあるので、休憩の長さと時刻を並べて数えます。法に合っているかは判断しません。
フレックスタイム制は、何が決まっていて、何が会社ごとか
厚生労働省の手引き「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」は、この制度を「一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度」と説明しています。導入には、就業規則等に始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる旨を定めることと、労使協定で①対象労働者の範囲、②清算期間、③総労働時間、④標準となる1日の労働時間、⑤コアタイム、⑥フレキシブルタイムを定めることが必要で、⑤⑥は任意です。清算期間の上限は3か月です(労働基準法第32条の3)。
手引きは、1日8時間・週40時間を超えて働いても、ただちに時間外労働にはならず、1日の標準の労働時間に満たなくても欠勤にはならない、と書きます。一方で、清算期間における実際の労働時間のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働になる、とも書かれています。総労働時間に不足したときは、賃金から控除するか、翌月の総労働時間に加算するか、の二つが示されています。
ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。「フレックスタイム制」の一語から読めるのは、制度の枠までです。コアタイム、清算期間、足りなかったときの扱いは会社の定めなので、書面で確かめます。時間外労働の計算や、あなたのケースへの当てはめは判断しません。残業の記録や相談先は残業がつらくて転職を考え始めたときの記事にあります。
コアタイムとフレキシブルタイム
手引きは、コアタイムを「労働者が1日のうちで必ず働かなければならない時間帯」、フレキシブルタイムを「労働者が自らの選択によって労働時間を決定することができる時間帯」とし、どちらも必ず設けなければならないものではない、としています。コアタイムを設けず出勤日も自由に決められる場合も、所定休日は予め定めておく必要があります。一方で、コアタイムが1日の労働時間とほぼ同程度の場合や、フレキシブルタイムが極端に短い場合は、始業・終業時刻を自由に決定するという趣旨に反し、フレックスタイム制とはいえなくなる、とも書かれています。手引きの例では、コアタイムは午前10時〜午後3時です(例であり、実在の会社の定めではありません)。
ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。コアタイムは、時刻に加えて曜日と休憩の時刻まで並べ、朝の送りや夜の通学の予定がコアタイムにかかるかを、手帳に当てはめて確かめます。会議がコアタイムの外にも入るかは手引きに書かれていないので、聞きます。
シフト・変形労働時間制の書かれ方
通知書の作成例の記載要領は、交替制ではシフト毎の始業・終業の時刻を記載する、としています。モデル就業規則(令和7年12月版)第19条の規程例は、始業・終業の時刻と休憩時間に「業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、又は繰り下げることがある」という但し書きを付け、交替勤務の勤務はシフト表により前月の〇日までに通知する形です(モデルで、実在の会社の規程ではありません)。
ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。シフト制は時間帯の種類とシフト表の時期を、固定の時刻でも繰上げ・繰下げの定めを聞きます。変形労働時間制の仕組みは求人票の休日欄の記事に、裁量労働制は求人票の裁量労働制の記事にあります。
面接で 就業時間について聞く五つの点
聞く点を、編集部の整理として五つ並べます(資料の項目ではありません)。
- 始業・終業の時刻は、固定か、幅か、シフトか、フレックスタイム制か。
- 休憩は何分で、何時ごろか。待機が重なる日はあるか。
- フレックスタイム制なら、コアタイムの有無と時刻。曜日による違いはあるか。
- 清算期間は何か月か。総労働時間に足りなかったとき、控除か、繰り越しか。
- これらは通知書、就業規則(ある場合)のどの条文、労使協定のどれに書かれるか。見せてもらえるか。
質問は「自由に働けますか」ではなく、求人票の言葉を指して「コアタイムは何時から何時で、曜日で変わりますか」とすると、答えが書面の言葉に結びつきます(編集部の整理)。エージェントを使っているなら、担当者に聞いてもらう方法もあります。担当者を選ぶ段階なら、タイプ別・エージェント選び方診断(広告を含むページです)が入口になります。
内定後 通知書と就業規則で照合する
労働基準法第15条第1項は、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない、と定めています(個別の場合は判断しません)。厚生労働省のパンフレット「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」は、労基則第5条の明示事項のうち「④始業及び終業の時刻、休憩時間、休日等」を含む①〜⑥(昇給を除く)は、書面を交付して明示する、としています。
パンフレット巻末のモデル労働条件通知書は、「始業・終業の時刻等」を(1)始業・終業の時刻、(2)変形労働時間制等・交替制、(3)フレックスタイム制、(4)事業場外みなし労働時間制、(5)裁量労働制に分け、該当するもの一つに○を付ける形です。(3)は「始業及び終業の時刻は労働者の決定に委ねる。」に続けて、フレキシブルタイムとコアタイムの時刻を書く欄です。ほかに休憩時間(〇分)、所定時間外労働の有無、「詳細は、就業規則第〇条~第〇条」の欄があります。作成例の記載要領は、内容が膨大になる場合は、所定時間外労働の有無を除き、勤務の種類ごとの始業・終業の時刻等の考え方を示したうえで、適用される就業規則の関係条項名を網羅的に示すことで足りる、とも書いています。モデル就業規則(令和7年12月版)の解説は、始業及び終業の時刻、休憩時間は就業規則に必ず定めておかなければならない、としています(就業規則の作成義務は常時10人以上の事業場。パンフレット)。
ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。まず求人票と通知書の就業時間、休憩が同じかを見て、違うならどこが違うのかを聞きます。通知書が「就業規則第〇条による」だけなら、その条文を見せてもらいます。取得した通知書のモデルと作成例の文字情報には「清算期間」「総労働時間」の語が見当たらなかったので、フレックスタイム制なら、就業規則や労使協定で確かめます。全体像は内定後の条件確認の記事にあります。
相談できる窓口
書面と聞いた話が食い違うときは、総合労働相談コーナーがあります。厚生労働省の「総合労働相談コーナーのご案内」によると、募集・採用や賃金の引下げなどの労働問題を対象にし、予約不要・無料です。土・日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁です。各コーナーの一覧の注記には、専門の相談員が不在の日時もあるため、念のため連絡を勧める旨があります。あなたの会社の定めが資料のとおりかは判断できません。窓口か専門家(社会保険労務士・弁護士)に確かめます。
まとめ
- 資料に書かれていたこと。就業時間と休憩時間は求人票に書く項目であること。フレックスタイム制は始業・終業時刻を労働者が決める制度で、コアタイムは任意であること。
- 編集部の整理。就業時間の欄は四つに分けて読む。「フレックスタイム制」から読めるのは枠まで。
- 書面での確かめ方。通知書の「始業・終業の時刻等」と休憩を、就業規則の条文と並べて見る。
手帳の月曜の欄に「送り 8:30」と書き込む前に、コアタイムと清算期間の言葉を書面で確かめてあります。そんな状態に、一歩近づくかもしれません。いま手元の求人票の就業時間の欄に、時刻のほかに何が書かれているでしょうか。
本記事は一般的な情報提供を目的とした編集部独自のコンテンツです。法律や制度、行政の運用は改正されることがあります。個別の求人や労働契約の内容が適切か、就業時間・休憩・フレックスタイム制の定めや運用が適切か、どの窓口が適切かは、都道府県労働局・総合労働相談コーナーの窓口、または社会保険労務士・弁護士などの専門家にご確認ください。 応募や面接、内定の結果、勤務時間や賃金について、特定の結果を保証するものではありません。 タイプ別・エージェント選び方診断は、広告を含むページです。