残業がつらくて転職を考え始めたとき、先に確認できること。時間の記録・相談窓口・辞める前の仕分け

更新日: 2026年10月23日

転職活動の進め方

終電のドアが閉まる音を聞きながら、今月の残業が何時間になったのかを頭の中で数え直している。タイムカードの時刻と、実際にフロアを出た時刻は同じだったか。思い出せない日がいくつもあって、数えるのをやめた。ホームのベンチで転職サイトのアプリを開き、条件の欄を眺めて、閉じる。 この記事は、残業の長さがつらくて転職が頭に浮かんだときに、辞めると決める前に確かめられることを、厚生労働省の公開資料で確認できた範囲に絞って整理したものです。あなたの会社の状況が法律に違反しているかどうかは、この記事では判断しません。

分かれ道マップ

いま、いちばん近いのはどれですか

状況を開くと、この記事で先に読む場所が出ます。

いまの状況は、どれに近いですか

  • 自分が何時間働いているのか、数字で言えない
    結論

    会社の勤怠の記録とは別に、自分の出退勤の時刻を手元に書き留めるところから始められます。何をどう書くかは確認1にあります。

    確認1 出退勤の記録
  • どこからが「多すぎる」のか、基準を知りたい
    結論

    残業の上限と割増賃金には、法律と指針に数字があります。ただし、対象や例外があります。数字の表と、当てはまらない働き方の両方を読んでください。

    確認2 数字の物差し 確認3 当てはまらない働き方
  • 管理職・裁量労働制・研究開発などで、数字が自分に当てはまるのか分からない
    結論

    当てはまり方が変わる働き方があります。自分がどれに当たるかは、この記事では判断できないので、就業規則や労働条件通知書を見て、窓口で確かめます。

    確認3 当てはまらない働き方 確認4 相談先
  • 社内では言いにくい。社外の相談先を知りたい
    結論

    国の相談窓口は、名前と受付時間、連絡先を一覧にしました。11月は、特別の電話相談日もあります。

    確認4 相談先
  • 眠れない、体が重いなど、体や心のつらさが続いている
    結論

    この記事は診断や治療の助言をしません。つらさが続くときは、医療機関や職場の産業医などの専門家に相談する場面です。電話の窓口も一つ載せています。

    体や心のつらさがあるとき
  • 転職する気持ちが強い。辞める前にしておくことを知りたい
    結論

    辞めるかどうかはこの記事では決めません。四つの問いに仕分けると、辞める場合も辞めない場合も使えます。辞めるなら、離職理由と次の職場の見方も確認します。

    確認5 四つの問い 次の職場の見方

確認1 自分の出退勤を、自分の手元に残す

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)は、会社(使用者)が労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録するものとしています。原則の方法は、使用者が自分で見て確認するか、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎にするかです。自己申告にする場合も、申告できる時間外労働の時間数に上限を設けて、それを超える申告を認めないなど、適正な申告を妨げる措置をとってはならない、とあります。

労働時間は、使用者の指揮命令下に置かれている時間で、契約や就業規則の書き方ではなく実態で客観的に決まる、とされています。義務づけられた着替えや業務後の清掃、すぐ対応するよう求められている待機、参加が義務の研修の時間が例に挙がっています。自分のどの時間が当たるかは個別の判断で、ここでは言えません。

会社の記録とは別に、自分の手元にも残しておく。労働者自身の記録の付け方を定めた資料は今回見つかっていないので、次は編集部の整理です。

書き留める場所は、個人の手帳や自分のスマートフォンのメモが無難です。会社のパソコンや社内アカウントは、退職すると使えなくなります。社内の資料や画面を社外に持ち出してよいかは就業規則や情報管理の規程に関わるので、迷うときは窓口や専門家に聞いてからにします。 なお、厚生労働省のリーフレットでは、賃金請求権の消滅時効は支払期日から5年、当分の間は3年とされています。請求できるかどうかは個別の事情で変わるので、この記事では判断しません。

確認2 数字の物差し。残業の上限と割増賃金

次の表は、厚生労働省の「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(2023年2月版)、「長時間労働の削減に向けて」(令和3年11月)、割増賃金のリーフレット、労働基準法の条文に書かれていることを並べたものです。資料の言葉を要約しています。

表は横にスクロールできます →

残業の上限・割増賃金・面接指導(2026年10月23日に確認)
項目 資料に書かれていること 条件・気をつけること
法定労働時間 1日8時間・1週40時間。休日は毎週少なくとも1回 これを超えて働かせるには、労使の「36協定」の締結と、労働基準監督署への届出が必要
時間外労働の上限(原則) 月45時間・年360時間 臨時的な特別の事情がなければ超えられない。この枠は時間外労働のみで、休日労働は含まない
特別条項があるとき、および特別条項の有無に関係なく 特別条項があっても、時間外労働は年720時間以内。月45時間を超えられるのは年6か月まで。特別条項の有無に関係なく、時間外と休日労働の合計は月100時間未満、2〜6か月の平均が月80時間以内 特別条項は「臨時的な特別の事情」と労使の合意が前提。「業務の都合上必要な場合」のような、恒常的な長時間労働を招くおそれのある定めは認められない、と指針の解説にある。資料の例: 時間外44時間と休日労働56時間で合計100時間になると、法律違反
割増賃金 時間外は25%以上。1か月60時間を超える部分は50%以上。法定休日は35% 60時間超の50%は、中小企業も2023年4月1日から。深夜(22時〜5時)は、別に25%が加わる
医師による面接指導 時間外・休日労働が月80時間を超えた労働者から申出があれば、会社は医師の面接指導を実施する必要がある 高度プロフェッショナル制度の適用者は別の基準。申出の手続きの細部は確認していません

「残業」と法律上の「時間外労働」は同じとは限りません。法律の「時間外労働」は、1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えた時間です。資料の例では、始業9時、休憩1時間、終業17時30分(所定労働時間7時間30分)の会社で18時まで働くと、残業は30分ですが、法律上の時間外労働はありません。手当をどちらから数えるかは、会社の定めによります。

指針の解説は、36協定の範囲内でも会社は労働契約法第5条の安全配慮義務を負うこと、労災の認定基準(令和3年9月14日の通達)で、1週40時間を超える労働時間が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まるとされていることに、留意するよう書いています。

36協定は、労働基準法第106条で、職場の見やすい場所への掲示や備え付け、書面の交付などによる労働者への周知が、使用者に求められています。どこで見られるか分からなければ、人事や総務に「36協定はどこで確認できますか」と聞くのが最初の一歩です(編集部の整理)。表の数字を超えているかどうかは、自分の記録と並べたうえで、窓口で聞きます。

確認3 この数字が、そのまま当てはまらない働き方

自分の働き方がどれに当たるかは、労働条件通知書や就業規則の「労働時間」の欄が手がかりになります。意味が分からないときは、次の窓口で聞けます。

確認4 社外の相談先。名称・受付時間・連絡先

厚生労働省の「相談窓口等一覧」と、各窓口のページに書かれていることです。総合労働相談コーナーと労働条件相談ほっとラインは、無料と案内されています。受付時間は変わることがあるので、かける前に公式のページで確かめてください。

表は横にスクロールできます →

残業・労働時間の相談ができる国の窓口(2026年10月23日に確認。受付時間は資料の記載のまま)
窓口 相談できること(資料の記載) 受付時間 連絡先
総合労働相談コーナー あらゆる労働問題。予約不要・無料。面談か電話。法律違反の疑いがあるときは、行政指導の権限を持つ担当部署に取り次ぐ 土・日・祝日・年末年始(12月29日〜1月3日)は閉庁 各都道府県の労働局、労働基準監督署内など。所在地は厚生労働省のページ
労働基準監督署 労働時間・賃金・解雇などの労働条件、職場の安全衛生、労災保険 月〜金(祝日・年末年始を除く) 8:30〜17:15 最寄りの署(厚生労働省の所在地案内)
労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業) 平日夜間、土日・祝日に、労働基準法などについて無料で電話相談 月〜金 17:00〜22:00、土日・祝日 9:00〜21:00(12月29日〜1月3日を除く) フリーダイヤル 0120-811-610(11月7日の特別相談の案内に載っている番号。通常時の番号を示す公式ページは確認できていません)
こころほっとライン(厚生労働省の委託事業) 労働者等からの、メンタルヘルスや過重労働による健康障害に関する電話相談 月・火 17:00〜22:00、土・日 10:00〜16:00(祝日・年末年始を除く) 0120-565-455

11月は、過労死等防止対策推進法にもとづく「過労死等防止啓発月間」で、厚生労働省はこれを毎年11月に実施していると説明しています。以下は、令和8年(2026年)の11月の日程として、同省が2026年10月8日に発表した内容です。11月1日(日)〜7日(土)(1日と3日を除く)は「過重労働相談受付集中期間」で、労働局と労働基準監督署が過重労働の相談を積極的に受け付けます。11月7日(土)には電話の特別相談があります。「過重労働解消相談ダイヤル」(0120-794-713、9:00〜17:00、労働基準監督官が対応)と、上の労働条件相談ほっとライン(0120-811-610、9:00〜21:00)です。2026年10月9日には令和8年版の過労死等防止対策白書も公表されています(この記事では白書の数字は引用していません)。

相談とは別に、労働基準法第104条は、事業場に法律や命令に違反する事実があるとき、労働者がその事実を労働基準監督署または労働基準監督官に申告できること、申告を理由に使用者が解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないことを定めています。厚生労働省のリーフレットによると、監督官は事業場への立ち入りや事情の聴取で事実を確かめ、法違反があれば是正のための監督指導を行います。申告するかどうかは、窓口で話を聞いてから決めても構いません。総合労働相談コーナーでは、「助言・指導」「あっせん」の案内や、法テラスなど他の紛争解決機関の情報提供も受けられると書かれています。残業代の請求などの個別の判断は、弁護士や社会保険労務士に確認する場面です。

体や心のつらさがあるとき

この記事は、症状の見立てや治療の助言をしません。眠れない、食欲がない、朝になると体が動かないといった状態が続くときは、かかりつけの医療機関や、職場の産業医など、専門家に相談する場面です。上の表のこころほっとラインは、過重労働による健康障害に関する電話相談も受けていると案内されています。上の表の面接指導は、会社に申し出る制度です。

確認5 辞める前に、四つの問いに仕分ける

辞めるか、辞めないか。どちらがよいとは、この記事では言いません。次の四つの問いは編集部の整理で、どちらを選ぶ場合にも使えます。

  1. 時間の問題か: 記録した時間を確認2の表と並べます。毎月続くのか、繁忙期だけなのかも見えてきます
  2. 支払いの問題か: 給与明細の時間外手当の欄と、自分の記録を並べます。厚生労働省のリーフレット(令和6年9月)は事業主向けに、1日ごとに一定時間に満たない労働時間を一律に切り捨て、その分の賃金を払わないことは労働基準法違反になる、と書いています(1か月の合計の端数処理には、30分未満の切り捨てと切り上げを認める例外があります)。自分の場合がどうかは窓口で聞きます
  3. 体調の問題か: 上の「体や心のつらさがあるとき」に戻ります
  4. 社内で変えられるかの問題か: 上司、人事、産業医、労働組合がある会社ならその窓口に話すかどうか。社内には話さず、社外の窓口だけを使う選択もあります

転職に動く場合、先に分かっていると助かることが二つあります。一つは辞めるときの手続きで、退職の申し出の時期は転職エージェントは退職交渉をどこまでサポートしてくれる?に、有給休暇と退職日の調整は有給消化の期間と退職日、引き継ぎの調整方法に、退職後の保険・年金・雇用保険は退職日と入社日のあいだが空くときにまとめています。

もう一つは、離職票の離職理由です。厚生労働省のパンフレット「離職されたみなさまへ」によると、離職理由は、事業主の主張と離職した人の主張を把握し、それぞれを確認できる資料で事実確認したうえで、ハローワークが判定します。厚生労働省の「離職区分コード早見表」には、「労働条件に係る問題(賃金低下、賃金遅配、時間外労働、採用条件との相違等)があったと労働者が判断したため」という理由が、区分3A「事業縮小や賃金大幅低下等による正当理由のある自己都合離職等」の欄に載っています。ただし、長時間労働がどの程度ならどの区分になるのか、基本手当にどう影響するのかは、この記事では確認できていません(ハローワークの判断基準のページには接続できませんでした)。自分の記録が「確認できる資料」に当たるかも含めて、ハローワークで聞く点です。

次の職場の残業を、応募の前にどう確かめるか

求人票やエージェントの説明だけで、入社後の残業の長さを知る方法は、この記事では確認できていません。

今週のチェックリスト

ここは編集部の整理で、効果を確かめた手順ではありません。

まとめ

残業がつらいときは、辞めるかどうかを決める前に、自分の時間を手元に残し、上限と割増賃金の数字に並べ、社外の窓口の名前と受付時間を知っておくことができます。数字が当てはまらない働き方もあるので、自分がどれに当たるかは窓口で確かめます。辞めるかどうかは、四つの問いに仕分けたあとでも決められます。 手帳の端に、今週の退社時刻が一行ずつ並び、スマートフォンのメモの一番上には窓口の名前と受付時間が書いてある。窓口で話すとき、「なんとなくつらい」ではなく、「この週はこうでした」と言える。どちらの道を選ぶにしても、その記録は手元に残ります。 今夜の帰り道、いちばん先に書き留めておきたいのは、どの日の、何時でしょうか。

本記事は一般的な情報提供を目的とした編集部独自のコンテンツです。法律や制度は改正されることがあります。個別の事案が法律に違反しているか、残業代を請求できるか、どの窓口が適切かは、労働基準監督署・総合労働相談コーナーの窓口、または社会保険労務士・弁護士などの専門家にご確認ください。 心身の不調に関する診断や助言は行っていません。つらさが続くときは、医療機関などの専門家にご相談ください。 転職や退職の結果について、特定の結果を保証するものではありません。 タイプ別・エージェント選び方診断は、広告を含むページです。