求人票の「契約期間」と「更新の有無」欄。期間の定め・更新の判断・更新上限・無期転換の書かれ方を、応募前に確かめる

更新日: 2026年11月6日

条件・お金

昼休み、会社の裏のベンチで弁当の蓋を閉じてから、求人サイトを開いた。気になる求人の雇用形態は「契約社員」。その下に、小さく「契約期間 6か月 更新あり」とある。親指で広げて、「あり」の二文字だけを大きくしてみる。いつまで続くのか、何を見て決まるのか。広げても、二文字の中身までは出てきません。 「契約期間」の周りに並ぶ行を、上から一行ずつ読みます。何が書かれる行で、空いているとき何を聞くかを、厚生労働省の資料に書かれていることと、編集部の読みに分けて並べました。あなたの求人や契約が適切かどうかは、判断しません。

分かれ道マップ

いま、いちばん近いのはどれですか

止まっている言葉を開くと、先に読む行が出ます。

契約期間の周りで、引っかかっているのは、どの言葉に近いですか

  • 「契約社員」とあるが、期間の定めがあるのか分からない
    結論

    「契約社員」という呼び名だけでは、期間の定めの有無は決まらないように読めます(編集部の読み)。契約期間の行に日付があるかを見ます。

    一行目 期間の定め
  • 「更新あり」としか書かれていない
    結論

    モデル通知書の「契約の更新の有無」は、四つの言い方から選ぶ形です。「あり」の二文字が、どれにあたるのかを聞きます。

    二行目 更新の有無
  • 「業務量による」「勤務成績により判断」とある
    結論

    更新の判断は、何で決まるかを具体的に書くことが望ましい、とリーフレットにあります。書かれた材料が、どちら側の事情かを分けて読みます。

    三行目 更新の判断
  • 「通算◯年まで」「更新◯回まで」とある。または、書かれていない
    結論

    更新上限は、年数か回数かで書かれ方が変わります。書かれていないときは、ないのか、書いていないだけなのかを聞きます。

    四行目 更新上限
  • 「無期転換」の行が見当たらない。または「正社員登用あり」とある
    結論

    無期転換申込機会の行は、申込権が発生する契約更新のたびに書かれる項目として、資料に出てきます。最初の契約書とは、書かれる時期が違います。

    五・六行目 無期転換の二行

「契約期間」の欄は、六つの行でできている

厚生労働省の求職者向けリーフレット「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」によると、2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則で、募集のときに求人企業が明示する労働条件に、「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」が加わりました。契約を結ぶときの明示にも同様の改正があり、パンフレット「備えは大丈夫ですか?」(2024年4月からの労働基準法施行規則などの改正)は、契約を結ぶときと更新のときの追加項目に、更新上限の有無と内容、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件を挙げています。

パンフレット巻末のモデル労働条件通知書(一般労働者用;常用、有期雇用型)で、「契約期間」の欄は上から次の順に並びます(行の番号は編集部が振りました。右の列は編集部の読みです)。

表は横にスクロールできます →

モデル労働条件通知書の「契約期間」の欄(2026年11月6日に確認。様式の言葉を要約。右の列は編集部の読み)
行 様式にある言葉 空いている・あいまいなとき(編集部の読み)
一 期間の定め 「期間の定めなし、期間の定めあり(年月日~年月日)」。以下は、「期間の定めあり」とした場合に記入する、と注記がある 日付が入っているか。「期間の定めなし」なら、以下の行は空いているのが様式どおり
二 更新の有無 「契約の更新の有無」。[自動的に更新する・更新する場合があり得る・契約の更新はしない・その他] 四つのうちのどれか。「あり」の二文字だけの書き方では、前の二つの区別がつかない
三 更新の判断 「契約の更新は次により判断する」。契約期間満了時の業務量、勤務成績、態度、能力、会社の経営状況、従事している業務の進捗状況、などが並ぶ 何が材料か。「総合的に判断」だけで済んでいないか
四 更新上限 「更新上限の有無(無・有(更新 回まで/通算契約期間 年まで))」 無か有か。有なら、年数か回数か
五 無期転換申込機会 「労働契約法に定める同一の企業との間での通算契約期間が5年を超える有期労働契約の締結の場合」の見出しのもとに、本契約期間中に無期労働契約の締結の申込みをすることにより、本契約期間の末日の翌日から、無期労働契約での雇用に転換することができる、という文 最初の契約では空いていることがある(五・六行目の節で述べる)
六 無期転換後の労働条件 「この場合の本契約からの労働条件の変更の有無(無・有(別紙のとおり))」 五と対で書かれる行

特例の対象者向けの行は、ここでは扱いません。これは契約を結ぶときの通知書の様式で、求人票は行の名前も並びも同じとは限りません。以下は、通知書の言葉を物差しにして、求人票の一行を読み直す使い方です(編集部の整理)。

一行目 期間の定めは「ある」か「ない」か

資料の記載です。リーフレットの記載例は「期間の定めあり(2024年4月1日~2025年3月31日)」で、開始日と終了日が入っています。「求人票の見方」は、雇用形態の欄の「正社員」を「直接雇用で、雇用期間の定めがなく、フルタイムのもの」、「正社員以外」を「契約社員、準社員、嘱託など正社員以外のもの」と説明し、「(注)フルタイム=正社員とは限りません。」と添えています。リーフレット「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準について」は、1回の契約期間の上限を、労働基準法第14条で原則3年(特例あり)としています。

ここからは編集部の読みです。「正社員以外」の説明は呼び名を並べているだけで、期間の定めの有無までは述べていません。「契約社員」という言葉では決まらず、契約期間の行の日付を見ます。契約期間の隣に「試用期間あり(3か月)」が並ぶ記載例がありますが、試用期間は別の行です。読み方は求人票の試用期間の記事に分けてあります。

二行目 更新の有無は、四つの言い方から選ぶ

資料の記載です。モデル通知書は、契約の更新の有無を「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」「契約の更新はしない」「その他」から選ぶ形にしています。リーフレットの記載例には「契約の更新 有(自動的に更新する)」があります。

ここからは編集部の読みです。求人票の「更新あり」の二文字だけの書き方は、通知書の前の二つを分けていないように見えます。「更新する場合があり得る」は、判断が入る言い方です。「ありなら、自動的に更新ですか、更新する場合がある、ですか」と、一語を聞いて確かめられます。

三行目 更新の判断は、「何で」決まるか

資料の記載です。リーフレットの記載例は「契約の更新 有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)」です。注として、「『諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する』というような抽象的なものではなく、『勤務成績、態度により判断する』、『会社の経営状況により判断する』など、具体的に記載いただくことが望ましいです」と書かれています。

ここからは編集部の読みです。材料は二つに分けて読めます。勤務成績、態度、能力は、本人の仕事ぶりを見るもの。契約期間満了時の業務量、会社の経営状況、従事している業務の進捗状況は、会社や仕事の側の事情です。後者なら「どの部署の、どの仕事の業務量か」と範囲を、前者なら「誰が、いつ、何を見て評価するか」を聞きます。

四行目 更新上限は、年数か回数か

資料の記載です。パンフレットは、契約を結ぶときと更新のときに、更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)がある場合は、その内容の明示が必要、と書いています。例は「契約期間は通算4年を上限とする」「契約の更新回数は3回まで」です。リーフレット「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準について」(令和6年4月1日一部改正)は、契約を結んだ後に更新上限を新たに設けるときや短縮するときは、その理由を、あらかじめ労働者に説明しなければならない、としています。

ここからは編集部の読みです。「更新3回」が、最初の契約を数えるのか、更新だけを数えるのかは、資料に定義が見当たりませんでした。自分の契約期間で何年にあたるかを書き出し、確かめます。求人票に欄が見当たらないときは、上限が「ない」のか「書いていないだけ」なのか、書面からは分かりません。通知書の様式は「無・有」を選ぶ形なので、空いていたらその場で聞けます。上限と雇止めの予告など会社側のルールは、契約社員の無期転換の記事に並べています。

五・六行目 無期転換の二行は、最初の契約では空いていることがある

資料の記載です。パンフレットは、「無期転換申込権」が発生する契約更新のたびに、その契約期間中に無期転換を申し込める旨(無期転換申込機会)と、無期転換後の労働条件を、書面で明示することが必要、としています。記載例は、「本契約期間中に無期労働契約締結の申込みをした時は、本契約期間満了の翌日から無期雇用に転換することができる。」と、「無期転換後の労働条件は本契約と同じ」などです。求職者向けリーフレットが「追加される明示事項」に挙げた三つ(業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、更新の基準)に、無期転換の行はありません。パンフレットのQ&Aは、企業独自の無期転換制度は法令に基づく明示の対象ではないが、書面等での明示も検討してください、としています。

ここからは編集部の読みです。五・六行目は「申込権が発生する契約更新のたびに」書かれる項目と資料にあるので、新しい会社での最初の契約で空いて見えても、それだけでは不思議とは言えないように読めます(出向・再雇用・特例などは判断しません)。求人票に「無期転換あり」「正社員登用あり」とあるときは、法令に基づく話か社内の制度かを聞いて分けておけます。無期転換の仕組みと通算の数え方は契約社員の無期転換の記事にあります。

聞き方 「はい・いいえ」と「何で」を組にする

ここは編集部の整理です。一言で返る問いと中身を聞く問いを組にし、通知書の行を添えます。

資料の記載です。求職者向けリーフレットは、労働条件の一部を別のタイミングで明示する求人でも、原則、面接などで求職者と最初に接触する時点までに全ての労働条件を明示することとなっている、と書いています。「明らかとなっていない労働条件などがないか、面接等で求人企業に確認することが大切です」ともあります。パンフレットは、書面の交付が必要な事項でも、労働者が希望した場合は電子メール等での明示が可能、としています。

ここからは編集部の整理です(効果は確かめていません)。面接で聞いた返事は、後日メールで「更新は、業務量と勤務成績で判断し、上限は通算◯年、というご説明で合っていますか」と一文で確かめておくと、通知書と並べて読めます。内定後の読み合わせは内定後の条件確認の記事に、条件を自分で聞きにくいときの担当者の選び方はタイプ別・エージェント選び方診断(広告を含むページです)にあります。

迷ったときの窓口

厚生労働省の「総合労働相談コーナーのご案内」によると、総合労働相談コーナーは、解雇、雇止め、募集・採用などあらゆる分野の労働問題を対象に、面談か電話で、予約不要・無料で相談を受けています。土・日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁で、窓口ごとの一覧には、専門の相談員が不在の日時もあるため、念のため事前に連絡するよう注記があります。パンフレットには、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)の「無期転換ルール特別相談窓口」も出てきます。個別の契約や通知書の判断は、これらの窓口や、社会保険労務士・弁護士などの専門家に確かめる場面です。

まとめ

「契約期間」の周りは、期間の定め、更新の有無、更新の判断、更新上限、無期転換の二行の、六つの行でできています。資料は、募集の段階で明示する項目に更新の基準(上限を含む)を挙げ、無期転換の二行は、申込権が発生する契約更新のたびに書面で示す項目として挙げています。編集部が読んだのは、「更新あり」の二文字から先は、行の名前を使った質問に言い換えて聞ける、ということです。 面接の席で、メモ帳に写した六行を見ながら、「更新の判断は、何を見て決まりますか」と一語ずつ口に出せる。返ってきた言葉を、通知書の同じ行の隣に書き足していく。「あり」の二文字だけを見つめていた昼休みとは、少し違う足元の確かさが、手元に残るかもしれません。 いま気になっている求人の「更新」の文字の隣に、判断のものさしは書かれているでしょうか。

本記事は一般的な情報提供を目的とした編集部独自のコンテンツです。法律や制度、行政の運用は改正されることがあります。個別の求人や労働契約の内容が適切か、更新や雇止めが認められるか、どの窓口が適切かは、都道府県労働局・総合労働相談コーナーの窓口、または社会保険労務士・弁護士などの専門家にご確認ください。 応募や面接、内定、契約更新の結果について、特定の結果を保証するものではありません。 タイプ別・エージェント選び方診断は、広告を含むページです。