エンジニアが転職か独立かで迷ったとき、「働けなくなった月」の公的な備えを先に並べる

更新日: 2026年10月25日

本記事はPRを含みます フリーランス・独立

高熱で寝込んで三日目の朝、休みの連絡をチャットに打ちながら、ふと手が止まる。 「これが業務委託の契約だったら、この三日間の分は、誰がどう払うのだろう」。 収入の数字は何度も書き出してきたのに、収入が止まる月に何が出るのかは、まだ書いたことがない。 この記事は、ITエンジニアが転職と独立で迷っているときに、その「働けなくなった月」の公的な備えを並べて見るためのものです。 どちらかをすすめる記事ではありません。後半に独立側のサービスを一例として載せていますが、経験や年齢などの条件があるため、先に「独立側の入口の一例」の節の条件を読んでください。

この記事で比べること

比べるのは、正社員として会社の健康保険と雇用保険に入っている場合と、会社をやめて個人事業主(業務委託で働く形)になった場合の、公的な制度です。 場面は、仕事中のけが、仕事と関係のない病気やけがで休むとき、離職して失業したとき、長く働けない障害が残ったときの四つに絞りました。 民間の保険は扱いません。案件が途切れて収入が減る場面は フリーランスの案件が途切れる前に。切れ目に慌てないための備え方をご覧ください。 制度の内容は、2026年10月25日に厚生労働省のページと法令データで確認したものです。

四つの場面を並べると

会社員と個人事業主(独立)の公的な備えの違い(2026年10月25日に確認)
場面 正社員のまま(転職を含む) 個人事業主として独立
仕事中・通勤中のけが、病気 労災保険(労働者が対象の制度) 労働者ではないため、任意の「特別加入」に入った場合に対象
仕事と関係のない病気やけがで休む 健康保険の傷病手当金 国民健康保険では、条例・規約で定めた場合に行うことができる給付。自治体などで異なる
離職して失業した 雇用保険の基本手当(受給の条件あり) 自営業の方は、基本手当を受け取れない例に挙げられている
長く働けない障害が残った 初診日に厚生年金に加入していれば、障害厚生年金(1〜3級)、障害手当金 初診日に国民年金のみなら、障害基礎年金(1・2級)

仕事中のけが、病気: 労災保険と特別加入

厚生労働省のリーフレットによると、労災保険は「労働者が仕事または通勤によって被った災害に対して補償する制度」です。 労働者でない方も、一定の要件を満たせば任意で入れる仕組みが「特別加入」で、入ると仕事中や通勤中のけが、病気、死亡について補償を受けられます。 休業の給付は、休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%で、特別支給金20%と合わせて80%と書かれています。

特別加入の対象は広がってきました。2021年9月1日から「ITフリーランス」が対象になり、2024年11月1日からは、企業などから業務委託を受けるフリーランス(特定フリーランス事業)が業種を問わず対象になりました。 リーフレットでは、ITフリーランスの事業にあたる場合は「ITフリーランス」の特別加入団体へ、それ以外の事業は「特定フリーランス事業」の特別加入団体へ申請する、と整理されています。自分の業務がどちらにあたるかは、都道府県労働局か労働基準監督署で確認してください。 保険料は、給付基礎日額(3,500円から25,000円までの16段階から選ぶ)の365日分の0.3%と書かれています。 なお、契約の名前が業務委託でも、実態として労働者と認められる場合は、特別加入をしていなくても労災保険が適用されると同じリーフレットにあります。契約の見方は フリーランスが初めての取引先と契約する前に確認したいことにあります。

仕事と関係のない病気やけが: 傷病手当金

熱を出して休むのは、多くの場合、労災ではありません。会社員の側では、健康保険法第99条が、被保険者が療養のため働けないときに、働けなくなった日から3日を経過した日から傷病手当金を支給すると定めています。 額は標準報酬月額をもとにした日額の3分の2、支給期間は支給を始めた日から通算して1年6か月です(同法第99条)。

個人事業主の多くが入る国民健康保険は、仕組みが違います。国民健康保険法第58条第2項は、市町村と国保組合が「条例又は規約の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の保険給付を行うことができる」と定めています。 「行うことができる」という書き方で、行うかどうか、条件や額は保険者ごとに決まります。住む市区町村が支給しているかは、窓口で確認が必要です。

退職後に会社の健康保険を続ける「任意継続」を選ぶ方もいますが、健康保険法第99条第1項は、傷病手当金の対象から任意継続被保険者を除いています。 退職の時点で既に受けている場合は、第104条に別の定めがあります。手続き全体は 退職日と入社日のあいだが空くとき。健康保険・年金・雇用保険の手続きを、期限つきで整理するにあります。

離職して失業したとき: 雇用保険の基本手当

厚生労働省の雇用保険Q&Aによると、基本手当の受給資格は、原則として離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要です。 また、基本手当は「失業の状態」にある方に支給され、受給できない例として、病気やけがですぐに就職できない方、学業に専念する方などと並んで「自営業の方など」が挙げられています。

同じQ&Aには、離職後に事業を始めた方などへの「受給期間の特例」も載っています。基本手当を受け取れる期間は原則、離職日の翌日から1年間ですが、事業を始めた日などの翌日から2か月以内に申請すると、事業の実施期間を受給期間に算入しない扱い(最大3年)にできるとあります。 自分が当てはまるか、特例を使うかどうかは、辞める前にハローワークで確認します。

長く働けなくなったとき: 障害年金

厚生労働省の「年金制度の仕組みと考え方」によると、障害年金は、病気やけがで初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、どの制度に加入していたかで受け取れる年金が変わります。 初診日に国民年金に加入していれば障害基礎年金、厚生年金に加入していて1級・2級なら障害基礎年金と障害厚生年金、3級なら障害厚生年金です。 障害等級は、1・2級は国民年金と厚生年金に共通で、3級と障害手当金は厚生年金のみが対象です。 保険料の納付要件も定められています。細部は年金事務所で確認してください。

転職しても、同じ状態とは限らない

正社員のままなら四つとも同じ、とは限りません。休職の制度や期間は、会社の就業規則で決まります。 内定後に確認する項目は 内定後の条件確認・入社日調整で気をつけたいことにあります。

自分の欄を書き出す

ここは編集部の整理です。四つの場面ごとに、次の三つを書いてみます。

  1. いまの自分。加入している健康保険の案内で、傷病手当金の条件を読む。雇用保険や労災は、会社の人事や就業規則で確かめられる範囲を書く。
  2. 独立した場合の自分。住む市区町村の国民健康保険の窓口で傷病手当金の有無を聞く。労災の特別加入はどの団体に入るか、労働局か労働基準監督署に確認する。
  3. 差の扱い。差を「自分で足す」「転職で足りる」「許容する」のどれにするか。足す場合の民間の保険などは、保険会社やファイナンシャルプランナーに相談します。

差を「許容する」と決めたなら、手元資金で何か月まかなえるかも合わせて見ます。月数の出し方は 独立を考えたら、会社を辞める前に確認しておきたいことの「お金」の項にあります。

独立側の入口の一例: 対象条件を先に読む

ここから先は、エンジニアとして独立(フリーランス)を具体的に検討している方向けの一例です。 Midworks(株式会社TWOSTONE&Sons)は、IT系のフリーランスエンジニア向けの案件紹介サービスと案内されています。 次の条件は、広告提携先を通じて受け取った広告主の案内にもとづくもので、2026年10月時点のものです。

この記事で扱った四つの場面について、サービス側に独自の仕組みがあるかは、確認できていません。 公的な制度の代わりになるものと、ならないものを分けて、登録後の相談で聞く進め方があります。 条件に当てはまり、情報を集める段階に入った方は、 Midworksの対象条件と案件を公式サイトで確認する から詳細を見られます。登録の前に確認したい点は 正社員エンジニアがフリーランス案件の紹介サービスを使う前に確認したいこと(広告を含む記事です)に整理しています。

条件から外れるときの次の手

確認する窓口

まとめ

会社員と個人事業主では、働けなくなった月に出る公的な備えが違います。労災は特別加入、傷病手当金は国民健康保険では保険者しだい、基本手当は受給できない例に自営業の方などが挙げられている(個別はハローワークで確認)、障害年金は初診日の加入で等級の範囲が変わります。 これらは転職と独立の優劣を決めるものではなく、どこまで自分で足すかを決める材料です。 四つの場面に答えを用意できたなら、次に熱を出した朝も、休みの連絡を落ち着いて打てるようになります。転職を選んでも、独立を選んでも、その備えは自分の選択として説明できます。 休んだ月のことを、もう誰かと話しましたか。

本記事は一般的な情報提供を目的とした編集部独自のコンテンツです。本記事にはPR(広告)を含み、 記事内のリンクはアフィリエイトプログラム経由のものです。 Midworksの対象条件などの内容は、広告主の表記にもとづくもの(2026年10月時点)で、時点や条件によって変わる可能性があります。 実際の利用にあたっては、公式サイトで最新の情報と条件をご確認ください。 本記事は、転職・収入・案件の獲得・特定の結果を保証するものではありません。 社会保険・労災・雇用保険・年金・税務に関する個別の判断は、労働局・労働基準監督署・ハローワーク・市区町村・年金事務所・税理士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。 体調に不安があるときは、医療機関にご相談ください。