紹介予定派遣の求人を見たとき、応募前に確認できること。6か月以内の派遣期間・直接雇用の条件・決まらないこと
条件・お金絞り込んだ画面に、勤務地も時給も条件に合う事務の求人が、一つだけ残っていた。雇用形態の欄には「紹介予定派遣」。派遣なのか、正社員なのか。応募ボタンの手前で指が止まり、別のタブで言葉の意味を調べても、どの説明も、いま見ている求人のことには聞こえない。 この記事は、そんな応募の手前で、求人票や派遣会社の説明を読むときに先に確かめられることを、厚生労働省の公開資料で確認できた範囲に絞って整理したものです。直接雇用になるかどうか、あなたの求人が資料のとおりに運用されているかは、この記事では判断しません。
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確認1 紹介予定派遣とは。派遣期間中と直接雇用後で、雇い主が変わる
厚生労働省の資料「紹介予定派遣とは・・・」(PDF、1ページ)によると、紹介予定派遣とは、労働者派遣のうち、派遣元事業主が派遣の開始前または開始後に、派遣労働者と派遣先に対して、職業紹介(派遣労働者と派遣先のあいだの雇用関係の成立のあっせん)を行い、または行うことを予定してするものです。職業紹介を行うには、厚生労働大臣による職業紹介事業の許可または届出が必要、とも書かれています。同じ資料は、派遣先と派遣労働者の双方にとって、派遣期間中にお互いの見極めができ、安定的な直接雇用につながりやすいというメリットがある、と説明しています。書かれているのは「つながりやすい」で、直接雇用が約束されるとは書かれていません(この部分は編集部の読みです)。
次の表は、厚生労働省の派遣労働者向けリーフレット「派遣労働者の皆さまへ」にある、雇い主ごとの整理です。右の列を、紹介予定派遣で直接雇用に移ったあとの姿として読むのは、編集部の整理です。
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| 項目 | 派遣期間中(資料の記載) | 直接雇用に移ったあと(編集部の整理) |
|---|---|---|
| 労働者と労働契約を結ぶ(雇い主) | 派遣元事業主 | 直接雇用した会社(これまでの派遣先) |
| 賃金を支払う | 派遣元事業主 | 直接雇用した会社 |
| 社会保険・労働保険の手続きを行う | 派遣元事業主 | 直接雇用した会社 |
| 仕事上の指揮命令を行う | 派遣先 | 直接雇用した会社 |
| 年次有給休暇を付与する | 派遣元事業主(通算の扱いは確認4) | 直接雇用した会社 |
では、応募した時点で結ぶのは、どちらの契約なのでしょうか。労働者派遣法の第32条第1項は、派遣元事業主が労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじめ、その旨を明示しなければならず、紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れようとする場合は、その旨を含む、と定めています。労働者派遣事業関係業務取扱要領(令和8年10月1日適用版)の第6は、派遣労働者となるのか、紹介予定派遣に係る派遣労働者となるのかが不明確であってはならない、紹介予定派遣の対象として登録しようとするときも、あらかじめその旨を明示する、と書いています。つまり、働き始めるのは派遣労働者としてで、紹介予定派遣であることは、事前に示される事項です(ここは編集部の整理)。説明があいまいなときは、派遣元に「紹介予定派遣として扱われますか」と聞ける点です。
もうひとつ、「直接雇用になったとき、正社員なのか」という疑問があります。資料が、直接雇用になる場合に予定される条件の例として挙げているのは、業務の内容、労働契約の期間、試用期間、就業の場所、始業・終業の時刻や休日、賃金の額、社会保険・労働保険の適用、雇おうとする者の名称です(確認4)。「正社員」「契約社員」といった区分の名前そのものを、記載する項目として挙げた箇所は、確認できていません。そのため、まず「労働契約の期間」が期間の定めありかなしかを見て、業務と賃金を並べる、という順で確かめることになります(編集部の整理)。期間の定めがあるときの更新や無期転換の見方は、契約社員で更新が続くとき、無期転換と転職のどちらを先に確かめる?にまとめています。
確認2 派遣期間は6か月以内。短縮や前倒しもある
派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針と、派遣先が講ずべき措置に関する指針(どちらも最終改正は令和8年厚生労働省告示)は、紹介予定派遣について、6箇月を超えて、同一の派遣労働者の労働者派遣を行わない(派遣先は、受け入れない)、と定めています。派遣労働者向けリーフレットにも「6か月以内」とあり、業務取扱要領の労働者派遣契約の記載例にも、派遣期間の欄に「紹介予定派遣の場合は、6箇月以内の期間とする」との注があります。
ただし、6か月は上限です。要領の第6は、当初予定していた派遣期間を、派遣労働者、派遣先、派遣元事業主の三者の合意のもとで短縮し、派遣先と派遣労働者のあいだで雇用契約を結ぶことは可能、と書いています。求人・求職の意思確認や職業紹介を行う時期を、三者の合意で早めることも可能で、当初の契約でその旨を定めておくこともできる、とあります。どちらも、派遣先の責任による中途解除のような目的で行ってはならない、と書かれています。また、派遣期間を短縮する場合に対応する形で紹介手数料を設定することが認められ、短縮されたときは派遣元(職業紹介事業者)がこれに対応した手数料を徴収しても差し支えない、とも書かれています。この短縮の規定では、徴収の相手が明記されていません。求職者から徴収できる手数料の範囲は、確認5にあります(編集部の読み)。
ここから編集部が読むと、求人の「6か月」は、6か月間働くことが決まっている、という意味とは限りません。見ておける点は次の三つです(編集部の整理)。
- 派遣期間の開始日と終了日: 6か月以内に収まっているか
- 短縮や前倒しの取り決め: 契約に「早める場合がある」旨があるか。あるなら、本人の合意をどの場面でとるのか
- 期間の区切り方: 派遣期間中の雇用契約が、何か月ごとに結ばれるのか。この点は、取得した資料では確認できていません
確認3 通常の派遣と違う点。事前の面接・履歴書・内定
派遣労働者向けリーフレットは、派遣先となる会社が事前に派遣労働者を指名することはできず、派遣開始前に面接を行うこと、履歴書を送付させることは禁止されている、と書いています。同じ箇所の括弧書きに「紹介予定派遣の場合や本人が希望する場合は認められています」とあります。派遣先が講ずべき措置に関する指針も、「紹介予定派遣の場合を除き」、派遣開始前の面接や履歴書の送付をしないこととしています。
要領の第1と、厚生労働省の資料「紹介予定派遣とは・・・」は、紹介予定派遣では、通常の労働者派遣と異なり、次の三つを行うことができる、と書いています。
- 派遣就業開始前の面接、履歴書の送付等(派遣労働者を特定することを目的とする行為)
- 派遣就業開始前または派遣就業期間中の求人条件の明示
- 派遣就業期間中の求人・求職の意思の確認と、採用内定
派遣先が試験や面接、履歴書の送付等で派遣労働者を特定するときの決まりも、資料にあります。要領の第7は、業務遂行能力に係る試験の実施や資格の有無など、社会通念上、公正と認められる客観的な基準によって行うことが必要、と書いています。年齢・性別・障害の有無による差別は、直接採用の場合と同様に行ってはならないとされ、指針は、職務の内容や、必要とされる適性・能力・経験・技能の程度など、応募するにあたって求められる事項を、できる限り明示することを、派遣先に求めています。応募前に知りたい「求められる経験の程度」は、資料の上では、派遣先が示すこととされている事項です。面接で待遇を聞く言い方は面接の逆質問で給与・待遇を聞いてもいい?にあります。
逆の場面もあります。「紹介予定派遣」とは書かれていない派遣の求人で、派遣先との面接を求められたときは、その案件が紹介予定派遣なのかを、派遣元に確かめる点になります(編集部の整理)。要領の第7は、派遣労働者が自分の判断で、派遣開始前に事業所を訪問したり履歴書を送ったりすることは実施可能で、派遣先が派遣元や本人にそれらを求めないようにする、と書いています。個別の案件が当てはまるかは、確認6の窓口に聞く場面です。
確認4 6か月のあいだに、決まっていること・決まっていないこと
次の表は、紹介予定派遣について、資料に書かれている内容を、応募前に確かめる点と並べたものです。右の欄は編集部の整理です。上の三つは書面に書かれる「予定」の事項、下の三つは、資料の上でも先が決まっていない部分です。
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| 項目 | 資料の記載 | 応募前に確かめる点(編集部の整理) |
|---|---|---|
| 紹介予定派遣である旨と、直接雇用後に予定される条件 | 労働者派遣契約に、紹介予定派遣である旨と、派遣先が雇用する場合に予定される労働条件を記載する。例として、業務の内容、労働契約の期間、試用期間、就業の場所、始業・終業の時刻や休日、賃金の額、社会保険・労働保険の適用、雇おうとする者の名称が挙げられている。派遣元は、同じ事項を就業条件の明示でも派遣労働者に示す | 派遣元から渡される就業条件の書面に、この欄があるか。「別途」「面談時に」とだけ書かれていないか |
| 試用期間 | 契約の記載例に「試用期間に関する事項」の項目があり、「紹介予定派遣により雇い入れた労働者について試用期間を設けることは望ましくない」との注記がある。厚生労働省の資料「紹介予定派遣とは・・・」には「試用期間を設けないようにしてください」とある。どちらも「望ましくない」「設けないように」という書き方で、禁止とは書かれていない | 直接雇用後の試用期間が「有」か「無」か。「有」なら期間と、その間の賃金や条件(試用期間中の最低賃金の扱いは別の記事にあります) |
| 年次有給休暇・退職金 | 直接雇用後の年次有給休暇と退職金の取扱いについて、労働者派遣の期間を勤務期間に含めて算入する場合は、その旨を記載する | 派遣の期間が算入されるのか。書かれていないときは、算入しないのか、決まっていないのかを聞く。算入しない場合の書き方は、確認できていません |
| 直接雇用になるか | 紹介予定派遣は、派遣先と派遣労働者の求人・求職の意思等を確認して職業紹介が行われる。意思等のいかんによっては職業紹介が行われないこともあることを、派遣労働者と派遣先に明示する、と要領にある | 資料の上では決まっていない部分。契約や説明に、その旨が書かれているか |
| 職業紹介を受けない場合・雇用しない場合の理由 | 派遣先が職業紹介を受けることを希望しなかった場合や、職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合は、派遣労働者の求めに応じて、理由が書面(本人が希望すれば電子メール等も可)で明示される。この旨は、就業条件の明示にも記載される | 理由を求めるときの窓口(派遣元)。理由の中身について、資料に定めはありません |
| 採用内定 | 派遣期間中に、派遣先が派遣労働者に採用内定を行うことは可能。要領は、紹介予定派遣の採用内定とその取消しの扱いも、通常の採用内定と同様と考えられ、解約権留保の趣旨・目的に照らして社会通念上相当と是認できなければ、解約権の濫用にあたり無効とする判例がある、と書いている | 内定が出る時期の目安や、通知の形(口頭か書面か)。時期の目安は、資料では確認できていません |
この表から言えるのは、応募前に書面で見られるのは「直接雇用になる場合に予定される条件」で、直接雇用になるか、いつ内定が出るかは、資料の上でも決まっていない、ということです(編集部の整理)。半年後の結果を言い切る言い方を見かけたら、決まっていない部分に当たらないか、立ち止まる材料になります。内定が出たあとに通知書で何を確かめるかは、内定後の条件確認・入社日調整で気をつけたいことにあります。
確認5 書面・許可・手数料で見る点
次の五つは、資料に書かれていることを、応募前や面談で確かめる点に直したものです。聞き方は編集部の整理です。
- 派遣元の許可番号: 労働者派遣法の第8条第2項によると、許可を受けた者は、許可証を事業所ごとに備え付け、関係者から請求があったときは提示しなければなりません。要領の第3は、「関係者」には、その事業主に雇用されようとする者も含まれる、と書いています。許可番号は、「派」の文字、都道府県番号(2桁)、事業主ごとの一連番号(6桁)で表され、事業所ごとの枝番号(3桁)が別に付く、とあります。
- 職業紹介の許可または届出: 紹介予定派遣は、派遣元が職業紹介の許可を受け、または届出をしているものとして定義されています(労働者派遣法第2条第4号)。職業紹介の番号の表記は、確認できていません。許可や届出を受けた事業所の情報は、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」に掲載される、と厚生労働省の職業紹介事業パンフレット(令和7年4月)にあります(サイトそのものは開けていません)。
- 就業条件の明示: 派遣元は、派遣をしようとするときは、あらかじめ派遣労働者に就業条件を明示します(法第34条)。業務の内容、就業の場所、派遣の期間、始業・終業の時刻、苦情の処理に関する事項などで、紹介予定派遣では、その事項も含まれます(確認4)。
- 職業紹介の手数料: 同パンフレットによると、有料職業紹介事業者は、職業安定法第32条の3が認める手数料のほかは、いかなる名義でも手数料や報酬を受けてはいけません。求職者から徴収できる手数料として書かれているのは、芸能家、家政婦(夫)、配ぜん人、調理師、モデル、マネキンの職業の求職受付手数料(経過措置)と、芸能家・モデル、および年収700万円を超える場合の経営管理者・科学技術者・熟練技能者の求職者手数料です。手数料に関する事項は、求人または求職の申込みを受理した後、速やかに、求人者と求職者の双方に書面等で明示することとされています。あなたの職種で費用が生じるかは、この記事では判断しません。手数料の説明が書面であるかを、派遣元に聞けます。
- 苦情の申出先: リーフレットは、派遣元事業主と派遣先に、それぞれ相談を受ける担当者がいる、と書いています。就業条件の明示にも、苦情の処理に関する事項が含まれます。
要領の第6は、紹介予定派遣で派遣元が行う職業紹介にも、職業安定法の労働条件等の明示や、求人等に関する情報の的確な表示などの規定が当然に適用される、と書いています。求人条件を、口頭の説明だけでなく書面で受け取れるかも、見ておける点です。派遣のほかに、期間従業員などの求人の読み方は、工場・製造の求人を探す前に確認したいこと(広告を含む記事です)にも触れています。エージェントを通して求人を探すなら、タイプ別・エージェント選び方診断(広告を含むページです)で、自分に近いタイプを確かめられます。
確認6 相談できる窓口
厚生労働省のウェブページ「ご相談窓口」には、「労働者派遣事業・職業紹介事業に関するご相談は、都道府県労働局にお問い合わせください」との記載があり、お問い合わせ時間は平日8時30分から17時15分です。派遣労働者向けリーフレットの最後にも、各都道府県労働局の担当の課・室の電話番号が並んでいます。電話番号は変わることがあるため、この記事には書き写さず、資料の最新版で確かめてください。ご相談窓口のページが労働局の相談として例に挙げているのは、制度や許可・届出・事業報告などの手続の分からないことです。個別の求人について、どこまで相談を受けるかは、確認できていません。
また、厚生労働省の「総合労働相談コーナーのご案内」によると、総合労働相談コーナーは、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用など、あらゆる分野の労働問題を対象にしています。予約不要・無料で、面談か電話での相談です。同省のページには、専門の相談員が不在の日時もあり、予約制ではないが念のため事前に連絡することが勧められている、との注記があります。土・日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁しています。個別の求人が資料のとおりかどうか、手数料や試用期間の扱いが適切かどうかは、これらの窓口や、社会保険労務士・弁護士などの専門家に確かめる場面です。
今週のチェックリスト
ここは編集部の整理で、効果を確かめた手順ではありません。
- ☐ 気になる求人の「紹介予定派遣」の表記と、派遣期間の開始日・終了日(6か月以内か)を書き出した
- ☐ 直接雇用になる場合に予定される条件のうち、労働契約の期間・業務・賃金・試用期間の欄を、書面で見るか、派遣元に聞くメモを作った
- ☐ 派遣元の許可番号が書面で示されているかと、手数料の説明の有無を、確かめる項目としてメモした
- ☐ 都道府県労働局と総合労働相談コーナーの場所を、スマートフォンのメモに書いた
まとめ
紹介予定派遣は、派遣期間のあとに派遣先との直接雇用に移ることを念頭に行われる派遣で、派遣期間は6か月以内とされています。派遣期間中の雇い主は派遣元で、直接雇用に移れば派遣先に変わること、事前の面接や求人条件の明示が認められていること、書面で見られるのは直接雇用になる場合に予定される条件で、直接雇用になるかどうかは双方の意思の確認によること。ここまでは、公式資料に書かれています。その先の、この求人でどうなるかは、資料からは言えません。 派遣会社の担当者の説明が一段落したところで、「いまのお話は、書面のどの項目に書かれていますか」と、落ち着いて聞ける。返ってきた答えを、あとで書面と並べて読み返せる。 応募の前に、担当者へ最初に尋ねる一問をひとつだけ選ぶとしたら、あなたは何を選びますか。
本記事は一般的な情報提供を目的とした編集部独自のコンテンツです。法律や制度、行政の運用は改正されることがあります。個別の求人が紹介予定派遣にあたるか、資料のとおりに運用されているか、手数料や試用期間の扱いが適切か、どの窓口が適切かは、都道府県労働局・総合労働相談コーナーの窓口、または社会保険労務士・弁護士などの専門家にご確認ください。 応募や直接雇用の結果について、特定の結果を保証するものではありません。 タイプ別・エージェント選び方診断は、広告を含むページです。