求人票の「年齢」の書かれ方。「年齢不問」「35歳未満」「若年者等を募集」を、応募前にどう読み、誰に確かめるか

更新日: 2026年11月8日

条件・お金

誕生日の翌朝、通勤電車の吊り革につかまったまま、保存しておいた求人を開き直した。応募資格の欄には「35歳未満」。昨日までなら当てはまっていた数字を親指で押さえているうちに、電車が次の駅に着く。年齢の数字がある求人は、もう自分には関係のないものなのか。それとも、数字の隣に書かれている言葉を読めば、分かることがあるのか。 この記事は、特定の求人が適切かどうかを判断するものではありません。厚生労働省の資料に書かれていることと編集部の読みを分け、年齢の書かれ方と、気になるときに誰に何を確かめるかを整理します。

原則は「年齢不問」。ただし、その四文字だけで決まる話ではない

厚生労働省の「募集・採用における年齢制限禁止について」のページによると、労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)は、事業主に対して、募集・採用で年齢を理由とした制限を設けることを禁止しています。平成19年の法改正で義務化された、という説明です。同じページには、求人票は年齢不問としながら実際には年齢を理由に応募を断ることや、書類選考や面接で年齢を基準に採否を判断することも、法の規定に反する、とあります。

事業主向けのリーフレット「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」(令和7年4月1日時点)は、この規定が、ハローワークだけでなく、民間の職業紹介事業者、求人広告、自社のホームページでの直接募集にも、パート・アルバイト・派遣など雇用の形態を問わず適用される、としています。本人の希望と関係なく一定年齢以上はパートタイムにするなど、年齢を理由に求人条件を変えることもできない、とあります。

ここは編集部の読みです。資料は事業主に向けて書かれていて、求人票を読む側への説明は見つかりませんでした。以下は、資料の言葉を読む側の物差しに置き換えた整理です。「年齢不問」の四文字は、読む手がかりのひとつにはなりますが、その求人がどう運用されるかまでを示す言葉とは、資料からは読めません。

「35歳未満」のような数字が出てくる、六つの入口

リーフレットとQ&Aが、年齢制限が認められる場合として挙げているのは、労働施策総合推進法施行規則第1条の3第1項の例外事由です。1号、2号、3号のイ・ロ・ハ・ニの六つがあります。

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年齢制限が認められる例外事由(リーフレットとQ&Aの記載を要約。2026年11月8日に確認。右の列は編集部の読み)
例外事由 資料の記載(要約) 求人票から見える手がかり(編集部の読み)
1号 定年 定年年齢を上限として、その年齢未満の労働者を、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合。例は「定年が60歳の会社が、60歳未満の人を募集」。下限年齢を付けること、定年と違う年齢を上限にすることは、認められない事例に載っている 上限だけが書かれているか。雇用形態が期間の定めのないものか。実際の定年が何歳かは、求人票だけでは照合できない
2号 法令 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合。例は「18歳以上の人を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)」「(警備業法第14条の警備業務)」。深夜業は、時間帯と下限年齢を併記する例(「午前1時~4時までは深夜業のため18歳以上」)がQ&Aにある 下限の「18歳以上」と、警備や深夜の時間帯など、仕事内容が対応しているか
3号イ 若年者等 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合。職業経験を不問とすること、新卒者以外には新卒者と同等の処遇にすることが要件。下限年齢は付けられない(2号など他の例外事由に当たる場合は別) 雇用形態、応募資格に経験の条件が並んでいないか、下限年齢が付いていないか。「同等の処遇」の中身は見えない
3号ロ 技能の継承 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種で労働者が相当程度少ない特定の年齢層(30~49歳のうちの5~10歳幅)に限定し、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合。同じ年齢幅の上下の年齢層と比べて、労働者数が2分の1以下、が該当 職種名が具体的か。年齢幅が狭いか(資料の例は30~39歳)。社内の年齢ごとの人数は見えない
3号ハ 芸術・芸能 芸術・芸能の分野で表現の真実性などの要請がある場合。例は「演劇の子役のため、○歳以下の人を募集」。イベントコンパニオンは、認められない事例に載っている 募集する仕事が、役者やモデルなどか
3号ニ 60歳以上・国の施策 60歳以上の高年齢者に限定する場合、または、特定の年齢層の雇用を促進する国の施策(雇い入れ助成金など)の対象となる者に限定する場合。例は「60歳以上の人を募集」「(人材開発支援助成金の対象者として)15歳以上45歳未満の人を募集」。「60歳以上70歳以下」のように上限を付けるのは、認められない事例に載っている 「60歳以上」か。国の施策に基づく旨が示されているか

資料の記載から押さえておきたいのは、1号、3号イ、3号ロが「期間の定めのない労働契約」を前提にしていることです。Q&Aは、有期労働契約を更新し続ける場合でも、個々の契約は期間の定めのある労働契約なので、ここでいう「期間の定めのない労働契約」には当たらない、としています。リーフレットの認められない事例にも、「30歳未満の人を募集(契約期間1年。更新あり)」が載っています。

編集部の読みでは、年齢の数字を見つけたとき、数字そのものより先に、同じ求人票の雇用形態と契約期間の行を見る意味があります。ただし、そこから分かるのは「資料の条件に当てはまっていないように見える」ところまでです。適切かどうか、応募できるかどうかは、求人票だけでは決められません。契約期間の行の読み方は、求人票の契約期間と更新の有無の記事に分けてあります。

「若年者等を募集」と書かれているとき、紙面から見える三つのこと

求人票や募集要項に「長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を募集」という趣旨の記載があれば、資料でいう3号イの話をしている、と読めます(編集部の読み)。リーフレットが挙げる要件は、対象者の職業経験を不問とすること、新卒者以外の者を新卒者と同等の処遇にすること、期間の定めのない労働契約の対象として募集することです。「同等の処遇」は、新卒者と同様の訓練・育成体制、配置・処遇を指し、賃金などが完全に一致する必要はない、と注にあります。

リーフレットの注は、「若年者等」を基本的には35歳未満と想定しつつ、必ずしも35歳未満に限られない、としています。認められる事例には「35歳未満の人を募集(高卒以上・職務経験不問)」と「45歳未満の人を募集(要普通自動車免許)」が並びます。Q&Aは、経験不問かつ新規学卒者と同等の条件であれば「40歳未満」も認められる場合があり得るとしつつ、キャリア形成に要する期間が勤続可能期間より短ければ該当しない、ともしています。上限の数字の高低だけで決まる話ではありません。

編集部の読みです。3号イの三つの要件のうち、求人票の紙面から確かめられそうなのは、雇用形態が期間の定めのないものか、応募資格に職業経験の条件が並んでいないか、下限年齢が付いていないか、の三点です。Q&Aは、3号イでは「経験者優遇」や「経験があれば尚よい」も認められない、としています。「35歳未満」の隣に職業経験の条件が並ぶ書き方は、リーフレットの認められない事例(職務経験を付している場合)に近く見えます。逆に、紙面から見えないのは「同等の処遇」の中身です。

もうひとつ、Q&Aは、職業経験不問とする募集に職業経験のある人が応募すること、採用されることは、もちろん差し支えない、と書いています。

数字のない言い回し。「歓迎」「前後」「20代が多い」はどう扱われるか

年齢の数字が直接は出てこない書き方にも、Q&Aには項目があります。求人票で見かけやすい書き方に合わせて、並べ替えました。

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年齢にかかわる書き方と、Q&Aの記載(要約。2026年11月8日に確認)
求人票での書き方 Q&Aの記載(要約)
「年齢不問」に「35歳未満の方歓迎」が併記されている 35歳未満の方を他の年齢層に比べて優遇するもので、実質的に年齢制限を行っていることと同じと考えられ、法の趣旨に照らし適当ではない。ただし、3号イなどの例外事由に当たる場合は違法とはならない
「60歳以上の方歓迎」 3号ニに定められる例外事由に合致するため、違法とはならない
「○歳位」「○歳前後」 そうした表記を付けて募集することは、法の趣旨に照らし適当ではない。求職者に誤解を招くおそれがないよう、表現を明確にする必要がある
「平成○○年4月2日以降に生まれた者」 実質的に年齢制限を定めていることと同じで、原則として違法となる
「来年3月卒業予定の者」「学校卒業後3年以内の者」 年齢制限を付さずに新規学卒者のみを募集する場合は、年齢制限をした募集・採用には該当しない。「学校卒業後3年以内」も年齢制限には当たらない。ただし、新規学卒者以外の若者にも門戸を開くよう努めていただく必要がある
「○○業務の経験○年以上」 年齢不問の求人で、経験年数を条件とすることは問題ない。ただし、合理的な理由がなく非常に長い期間が設定されている場合などは、事実上の年齢制限が意図されていると解され、法の趣旨に照らし適当ではない
「年齢不問。○歳以上は経験者のみ」/「年齢不問、要業務経験。○歳以下の場合は経験不問」 前者の「○歳以上は経験者のみ」は、例外事由に該当しない年齢制限が行われていると考えられ、不適切。後者は、3号イと年齢不問の求人を組み合わせた書き方として認められる。ただし、本来は求人票を2つに分けるなど、求職者に分かりやすい募集にするのが適当とされている
「スタッフ全員が20代」「20代が主役の会社」 会社に関する事実の表示は、直接には年齢制限に当たらない。ただし、「20代でなければならない」「20代を優先して募集している」といった誤解を生じさせないよう努めていただく必要がある

編集部の読みでは、「35歳未満」が応募資格の年齢として書かれていても、「歓迎」の併記でも、資料が見ている点は同じで、3号イなどの例外事由に当たるかどうかです。「歓迎」の併記が適当ではないとされるのは、実質的に年齢制限を行っているのと同じと考えられるためです。迷ったときは、仕事内容の欄に、業務の具体的な内容と必要な力が書かれているかを見ます。Q&Aは、体力などの低下の度合いは個人差が大きく年齢で一律に制限するのは適切ではない、求人で業務の具体的内容と必要な身体能力等を明示することが重要、としています。

求人票の外にあること。理由の提示を求めるという手がある

ここは編集部の読みです。1号の実際の定年年齢や、3号ロの2分の1という社内の人数構成は、求人票の記載が合っているかを応募する側が照合することはできません。ただしQ&Aによると、定年を定めている事業主が定年制の対象者を募集するときは、定年年齢を記載する必要があります。3号ロは、要件を満たしている旨を求人において明示する必要がある、とあります。

リーフレットは、65歳未満の上限年齢を定める場合、求職者、職業紹介事業者等に対して、その理由を書面や電子媒体で提示することが義務づけられている(高年齢者雇用安定法第20条第1項)と書いています。Q&Aによると、求人広告の紙面の制約などで詳細な情報の提供が難しい場合は、求職者の求めに応じて、遅滞なく、書面等で年齢制限の理由を提示することが認められています。それ以外の年齢制限には義務は生じませんが、同様に理由を提示することが望ましい、とされています。

ここは編集部の読みです。「35歳未満」の理由を教えてほしい、と求めることは、資料の仕組みに沿った聞き方に見えます。ただし、頼んだときに実際にどんな形で返ってくるのかは、資料から確かめられていません。

気になるときは、誰に何を聞くか

ここから先は編集部の整理で、効果は確かめていません。聞く相手は、おおよそ三者です。

窓口に話すときは、どの求人のどの文言かが分かるよう、画面を日付つきで保存しておくと話しやすいと考えられます。受付時間、予約の要否、費用は、今回読んだ資料では確認できていません。個別の求人の適否は、これらの窓口や、社会保険労務士・弁護士などの専門家に確かめる場面です。40代・50代向けの国の窓口は国の窓口の記事に、ハローワークと民間サービスの違いは違いを整理した記事にあります。

まとめ

資料から確かめられたのは、募集・採用では原則として年齢を不問にすること、年齢制限が認められるのは六つの例外事由に当たる場合であること、上限年齢には理由の提示の仕組みがあることです。編集部が読んだのは、雇用形態、経験の条件、下限年齢の有無が紙面から見える手がかりになること、見えない部分は「理由」と「条件」に言い換えて聞けること、の二点です。あなたの求人の適否は、この記事からは言えません。 通勤電車で保存した求人を開いたとき、年齢の数字から目を離して、雇用形態、経験の条件、仕事内容の書き方へと、順に視線を動かせる。気になる点は「理由」と「条件」の二つの言葉に直して、担当者や窓口に渡せる。数字だけで閉じていた画面が、少し違って見えるかもしれません。 保存したままの求人の応募資格欄には、年齢の数字のほかに、どんな言葉が並んでいるでしょうか。

本記事は一般的な情報提供を目的とした編集部独自のコンテンツです。法律や制度、行政の運用は改正されることがあります。個別の求人や募集・採用の内容が適切か、応募できるか、どの窓口が適切かは、都道府県労働局・ハローワークの窓口、または社会保険労務士・弁護士などの専門家にご確認ください。 応募や選考、採用の結果について、特定の結果を保証するものではありません。 タイプ別・エージェント選び方診断は、広告を含むページです。