求人票の「賞与」欄。年2回・実績・支給日の書かれ方を、応募前と内定後に確かめる

更新日: 2026年11月3日

条件・お金

11月に入って、冬の賞与の話が耳に入るようになった。比べている三社の待遇欄は、「賞与あり 年2回」「賞与 前年度実績あり」「業績による」。同じ「賞与」なのに、この三行は同じ重さなのだろうか。金額を比べる前に、書き方の違いで手が止まります。 この記事は、冬の賞与の予測や平均額を扱いません。賞与の行の読み方と確かめる書面を、厚生労働省の資料に書かれていることと、編集部が読んだことに分けて並べます。

分かれ道マップ

いま、いちばん近いのはどれですか

近い状況を開くと、先に読む場所が出ます。

賞与の行で、引っかかっているのは、どれに近いですか

  • 「賞与あり」とあるが、いくら出るのか分からない
    結論

    求人票の読み方を示した厚生労働省のリーフレットは、賞与について、実際に支給される金額は会社・個人の業績により変動することがある、と説明しています。

    応募前 賞与の行の読み方
  • 「前年度実績」とある。今年も同じなのか分からない
    結論

    通知書の作成例は、業績等に基づき支給されない可能性があるときは、制度としては「有」を明示しつつ、その旨も明示する、と書いています。実績と、これからの話は別に聞くことになります。

    実績とこれからを分ける
  • 対象になる期間や、支給日に在籍している条件が気になる
    結論

    モデル就業規則の解説は、賞与は法律で設けることが義務付けられているものではない、としています。期間や日付は、会社の規程の文面で決まる部分が大きいようです(編集部の読み)。

    算定期間・支給日・在籍
  • 入社したばかりの年に、賞与が出るのか分からない
    結論

    入社した年の扱いを直接説明した記述は、取得した資料では見当たりませんでした。聞く点を三つに絞って並べました。

    入社した年の扱い
  • 内定が出た。書面のどこを見ればいいのか
    結論

    モデル労働条件通知書には、「賞与」の行があり、有の場合は時期、金額等を書く形になっています。

    内定後 通知書と規程

応募前 求人票の「賞与」の行は、何を書く欄か

ハローワークの求人票の読み方を示した厚生労働省のリーフレット「求人票の見方」は、「昇給」「賞与」の欄について、「実際に支給される金額は、会社・個人の業績により変動することがあります」と説明しています。見本の求人票の賞与の行は、「あり(前年度実績 あり)」「年2回(前年度実績)」「賞与月数 計◯ヶ月分(前年度実績)」の形です(数字は◯に置き換えました)。

労働基準法施行規則第5条の明示事項を示した厚生労働省のパンフレットでは、「臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び最低賃金額等」は、定めを設ける場合の明示事項です。書面の交付が必要な①〜⑥(契約期間、就業場所、労働時間、賃金など)に、賞与は入っていません。ただ、巻末のモデル労働条件通知書には「賞与(有(時期、金額等)、無)」の行があり、パートタイム・有期雇用の労働者には賞与の有無を文書の交付等で明示することが、パートタイム・有期雇用労働法第6条第1項で求められている、とも書かれています。

ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。「賞与あり」は制度があることを示しますが、いくら出るかが決まっているとまでは、資料から読み取れません。賞与の行は、有無、回数や時期、金額や月数、実績か定めか、の四つに分けて読むと、書き方の違いが見えやすくなります。

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求人票の賞与の行に出てくる書き方の例と、確かめる点(編集部の整理。例は編集部が並べたもので、実在の求人の文言ではありません。2026年11月3日に作成)
書き方の例 読めること 求人票・面接・書面で確かめる点
賞与あり 制度があること。額や回数までは書かれていない場合がある 回数、時期、額の決まり方
年2回 回数。実績の記載か、定めの記載かは、この一語では分からない 前年度の実績か、規程の定めか。支給の月
前年度実績◯ヶ月分 過去に支給された記録。今年度の約束とは別のもの 今年度の見込みを聞けるか。算定の基準
業績連動・業績による 会社や個人の業績で変わる書き方 何の業績か(会社全体・部署・個人)。支給されない場合の定め
支給日在籍 支給日にいることが条件になりうる書き方 規程の文言。基準日がいつか
基本給の◯ヶ月分 計算のもとになる額を、基本給とする書き方 基本給に何が含まれるか(手当、固定残業代)
年俸◯円(賞与込み) 年額に、賞与にあたる分が含まれる書き方 毎月の額と賞与の分け方。賞与として別に出る額

「実績」と「これから」を分けて読む

厚生労働省の労働条件通知書の作成例は、賃金の記載要領で、「昇給、賞与が業績等に基づき支給されない可能性がある場合や、退職金が勤続年数に基づき支給されない可能性がある場合は、制度としては「有」を明示しつつ、その旨を明示する」としています。

ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。「前年度実績」から読み取れるのは「去年はそうだった」までで、今年度も同じか、支給されない場合の定めがあるかは、別の問いです。複数社を比べるときは、実績どうし、定めどうし、と同じ種類の数字を並べます。

算定対象期間・支給日・「在籍」の条件は、規程にある

厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)の解説は、賞与について「労基法その他の法律によって設けることが義務付けられているものではありません。しかし、賞与を支給する場合、就業規則に支給対象時期、賞与の算定基準、査定期間、支払方法等を明確にしておくことが必要です」と書いています。規程例(第50条)は、算定対象期間に在籍した労働者に支給日に支給する形で、業績の著しい低下などのときは延期し、又は支給しないことがある、額は業績と勤務成績などを考慮して各人ごとに決める、という書き方です(モデルで、実在の会社の規程ではありません)。

同じ解説は、賞与の支給対象者を一定の日(例として6月1日、12月1日、又は賞与支給日)に在籍した者とする規定を設けることで、期間の途中で退職等し、その日に在職しない者には支給しないこととすることも可能、と書いています。厚生労働省のサイトに載る中央労働委員会のあっせん事例集(事例18)のPointは、「賞与支給日において退職予定の労働者には賞与を支給しない」とする就業規則が労働者に実質的に周知されていない場合、その就業規則に効力はなく、この規定を理由として賞与を不支給とすることは許されない、と書いています。また、賞与の支給日在籍要件については適法とする裁判例が多いが、「賞与支給日において退職予定の労働者」に対して賞与を僅少な金額に止めることは違法とした裁判例がある、とも書いています。あなたの会社の定めが当てはまるかは、この記事では判断しません。

ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。賞与の「いつ、誰に、いくら」は、求人票の一行では決まらず、規程の文言で決まる部分が大きいようです。求人票の「年2回」の次は、規程の算定対象期間、支給日、在籍の条件です。退職日との関係は、冬のボーナスをもらってから辞めたいときの記事で扱っています。

入社した年は、どう数えるのか

取得した資料には、入社した年や、算定対象期間の途中で入社した人の賞与の扱いを説明した記述は見当たりませんでした。モデル就業規則の規程例は「算定対象期間に在籍した労働者」と書き、期間は空欄の様式です。「求人票の見方」は、試用期間中は賃金等の労働条件が異なることがあるので、よく確認しましょう、と書いています。

ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。入社した年は、三つに分けて聞きます。期間の途中の入社で対象になるか。なるときは、期間に応じた計算か、一定の額か。試用期間中も対象か。試用期間の書かれ方は求人票の試用期間の記事に並べています。

基本給・固定残業代・年俸制との関係

「求人票の見方」は、「年俸制」を、年額が決められ、各月に分けて支給されるもので、各月の支給額の分け方はいろいろ、と説明しています。募集時のリーフレットの固定残業代の記載例は、「基本給 ××円(②の手当を除く額)」と、手当を分けて書く形です。

ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。「基本給の◯ヶ月分」の基本給が、固定残業代や手当を除いた額かは、一語では分かりません。年俸制で「賞与込み」なら、毎月の額と賞与として別に出る額の内訳を聞きます。賃金欄全体は求人票の賃金欄と最低賃金の記事にあります。

面接で 賞与について聞く五つの点

求職者向けのリーフレットは、労働条件の一部を別のタイミングで明示できる場合も、原則として面接などで最初に接触する時点までに全てを明示することになっている、と書いたうえで、「明らかとなっていない労働条件などがないか、面接等で求人企業に確認することが大切です」としています。賞与について聞く点を、編集部の整理として五つ並べます(資料の項目ではありません)。

  1. 賞与は、制度として「ある」のか。支給額は、決まっているのか、業績で変わるのか。
  2. 求人票の「年◯回」「◯ヶ月分」は、前年度の実績か、規程の定めか。
  3. 算定対象期間と支給日は、いつからいつまでか。支給日に在籍している必要はあるか。
  4. 入社した年は対象になるか。試用期間中はどうか。計算は期間に応じたものか。
  5. 賞与の定めは、通知書、就業規則、賃金規程のどこに書かれるか。見せてもらえるか。

「賞与はいくら出ますか」より、求人票の言葉を指して「この『前年度実績』は、今年度の見込みとは別と考えてよいですか」と聞くほうが、答えが書面の言葉に結びつきます(編集部の整理)。エージェント経由なら担当者に伝えてもらう方法もあり、担当者を選ぶ段階なら、タイプ別・エージェント選び方診断(広告を含むページです)が入口になります。

内定後 通知書と規程で照合する

労働基準法第15条第1項は、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない、と定めています。第2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することができる、と定めています(厚生労働省の法令データで確認。個別の場合は判断しません)。

モデル労働条件通知書は、賃金の欄に「賞与(有(時期、金額等)、無)」の行を置き、就業規則の関係条項を書く欄(「詳細は、就業規則第○条~第○条」)も設けています。 ここから編集部が読んだのは、次の点です(編集部の読み)。求人票の賞与の行と通知書の賞与の行に違いがあるなら、どこが違うのかを聞きます。通知書が「有」だけで時期や金額等がないなら、規程のどの条文に書かれるかを聞き、見せてもらえるかを確かめます。全体像は内定後の条件確認の記事にあります。

相談できる窓口

書面と聞いた話が食い違うときは、総合労働相談コーナーがあります。厚生労働省の「総合労働相談コーナーのご案内」によると、募集・採用や賃金の引下げなどの労働問題を対象にし、予約不要・無料です。土・日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁しています。あなたの会社の賞与の定めが資料のとおりかは、この記事からは判断できません。窓口か、社会保険労務士・弁護士などの専門家に確かめます。

内定後に書面で確かめる項目

Q&A

「賞与あり」とあれば、金額も決まっていますか

資料からは、そう読み取れません。求人票の見方は、実際の金額は業績により変動することがある、と説明しています。額や回数が決まっているかは、書面の書き方で確かめます(編集部の整理)。

「前年度実績」とあれば、今年も同じ月数ですか

今年度も同じになるという記述は、取得した資料にありません。「前年度実績」は過去の記録を書く形で、今年度の見込みは別に聞くことになります(編集部の整理)。

まとめ

面談の終わりに、求人票の言葉を指して「この『前年度実績』は、今年度の見込みとは別、と考えてよいですか」と聞けたなら、帰り道に残るのは、「ありそう」という期待ではなく、「何が書いてあるか」という手ざわりかもしれません。手元の求人票の賞与の行に、「実績」の二文字は書かれていますか。

本記事は一般的な情報提供を目的とした編集部独自のコンテンツです。法律や制度、行政の運用は改正されることがあります。個別の求人や労働契約の内容が適切か、賞与の定めや支給の扱いが適切か、どの窓口が適切かは、都道府県労働局・総合労働相談コーナーの窓口、または社会保険労務士・弁護士などの専門家にご確認ください。 応募や面接、内定の結果、賞与の支給について、特定の結果を保証するものではありません。 タイプ別・エージェント選び方診断は、広告を含むページです。