卒業後に就職先が決まっていないとき、既卒の就職で確認したいこと。新卒枠・窓口・エージェントの見方
就活・新卒卒業証書の入った筒を部屋の隅に立てかけたまま、求人サイトを開く。「新卒」と大きく書かれたタブを見るたびに、自分はもうそこに入れないのではないかと思って、画面を閉じてしまう。 かといって、「中途採用」の欄に並ぶ「経験者歓迎」の文字にも、手が伸びない。 止まったままのその画面の前で、国の資料で確かめられたことと、確かめられなかったことを分けて並べます。読み終えたときに、最初に連絡する先が一つ決まっていれば十分です。
「新卒枠」と「中途採用」の両方を見る
卒業したあとの就職先探しは、「新卒枠」と「中途採用」のどちらか一方に決める必要はありません。両方の募集を見て、応募資格に当てはまるものから選べます。
新卒枠について、厚生労働省は、若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)にもとづく指針で、新規学卒者などを募集する事業主に対し、 既卒者が卒業後少なくとも3年間は「新卒枠」に応募できるようにすること、できる限り上限年齢を設けないようにすることに「努めること」と示しています。 事業主向けのリーフレットには、在学中に就職先が決まらないまま卒業した人に新卒採用の門戸を閉ざすことは、会社にとっても損失になる、という趣旨のことも書かれています。 卒業後に探す人が新卒枠を見てみる手がかりになるのが、この指針です。
ただし、書き方は「努めること」です。すべての企業が既卒者を新卒枠で受け付けるとは限りません。「卒業後3年以内なら新卒として扱われる」と言い切れる話ではなく、 受け付けるかどうか、何年目まで受け付けるかは、企業ごとの募集要項で確かめることになります。 編集部が確認できたのは、国の指針とリーフレットの文章までです。リーフレットの裏面には、厚生労働省の2020年8月の調査をもとにした、既卒者の応募受付状況などの図が載っていますが、古い調査で、図表を目視で確認できていないため、数字は引用しません。
応募前に確かめる順番を、編集部が整理しました(効果は確かめていません)。
- 募集要項の応募資格: 「卒業見込み」だけが対象か、「既卒可」「卒業後〇年以内」と書かれているか。書かれていなければ、問い合わせ窓口に聞いてよい項目です
- 選考の時期と流れ: 新卒枠の選考が、すでに終わっているか、通年で行われているか。企業によって違います
- 中途採用の募集: 職歴を問う募集と、未経験や若手を想定した募集があります。応募資格の文言で見分けます(編集部の整理)
まだ卒業前の方は、10月になっても内定がないとき。内定式の投稿を見たあとの、1週間の動き方が状況に近いかもしれません。
卒業後おおむね3年以内の窓口と、ほかの窓口
国の窓口は、卒業後の年数と状況で変わります。厚生労働省の「若者への就職支援」のページに並ぶ3つの窓口を、対象と内容で整理しました。
| 窓口 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 新卒応援ハローワーク | 卒業後おおむね3年以内の方(大学等を卒業予定の学生・生徒も) | 無料。担当者を決めた個別の相談、エントリーシートや履歴書の作成支援、面接の練習、セミナー、全国の求人の検索、企業説明会や面接会。就職後の相談も受け付ける |
| わかものハローワーク | 正社員就職を目指す、おおむね35歳未満の方。パートやアルバイトから正社員への転職を希望する方が想定されている | 就業経験の少なさや、離職・転職を繰り返したことへの悩みを抱える人が、正社員就職への第一歩を踏み出せるよう支援する |
| 地域若者サポートステーション | 現在働いておらず、働くための一歩を踏み出せずにいる方(このページには年齢や卒業後の年数の記載なし) | 働くことへの悩みを抱える人の就労を支援する |
卒業して間もない方は、新卒応援ハローワークが入り口になります。担当者を決めた個別の相談なので、相談したいことが整理できていない段階でも使えるかどうかを、最初の電話で聞いてみてください。 「おおむね3年以内」の数え方(卒業した月から数えるのか、など)や、施設ごとの予約の要否は、公式ページには書かれていませんでした。最寄りの施設に確かめてください。
卒業後3年を過ぎたときは、年齢や状況に応じて、わかものハローワークやサポステが選択肢になります。それぞれの対象は上の表のとおりです。 ただし、公式ページには3つの窓口が並んでいるだけで、卒業後の年数での振り分けは書かれていません。この使い分けは編集部の整理です。 どの窓口が自分に合うかは、年齢だけでなく、働いていない期間の長さや気持ちの状態でも変わります。迷うときは、最寄りのハローワークに、いまの状況をそのまま話してみてください。 窓口全体の使い分けは、就活の窓口は5種類。エージェント・ナビサイト・逆求人・大学・新卒応援ハローワークの使い分け方(広告を含む記事です)にまとめています。
卒業後の空白期間を、面接でどう伝えるか
面接で「卒業してからは、何をしていましたか」と聞かれる場面は、想定しておくと慌てにくくなります。ここでは、答えを創作せず、事実を並べて埋める型だけを紹介します。 空白があっても大丈夫、といった保証はできません。評価の仕方は、企業と面接官によって違うためです。
手元の紙に、次の4つを埋めてみてください。例文は載せません。あなたの実際の経験だけを書くためです。
- 期間: 卒業から今まで、何年何か月か。その間の区切り(アルバイトを始めた月、就職活動を再開した月など)
- していたこと: 働いていた、学んでいた、就職活動をしていた、家族の事情があった、など。事実だけを書き、盛らない
- そこで考えたこと・選んだこと: なぜ、その過ごし方を選んだのか。うまくいかなかったことがあれば、そのとき何を変えたか
- これから: どんな仕事に就きたいと考えているか。まだ決まっていなければ、いま比べている軸
4つが埋まったら、声に出して1分で話してみます。長くなるようなら、1と2を短くし、3と4を残します。 話したくない事情(健康や家庭のことなど)がある場合は、仕事に関わる範囲に絞って答えを用意する、という考え方もあります。これは編集部の整理で、選考への効果は確かめていません。 面接のあとの振り返りは、面接に落ちた日の夜にやること。次の面接に持ち越す振り返りの仕方で書いています。
既卒・フリーター向けのエージェントを使う前に確かめる質問
既卒やフリーターの人を対象に掲げる就職支援のサービスは、公式ページと最初の面談で、次の項目を確かめてから申し込むと、あとで食い違いにくくなります。 この記事は、個別のサービスの強みや研修の内容を、広告主のページなどで確認できていないため、書いていません。
- 運営会社の名前と、利用者に費用がかからないか
- 対象の条件(年齢、卒業後の年数、希望の勤務地、学歴など)に、自分が当てはまるか
- 紹介してもらえる仕事の範囲(職種、地域、雇用形態が正社員か)。希望と違う求人は、断ってよいか
- 研修やセミナーがある場合は、内容、期間、参加に費用がかかるか、途中でやめられるか
- 連絡の手段と頻度。登録した情報が、どの企業に、どこまで渡るか
- 応募するかどうかは、自分で決められるか。断ったあとの対応はどうなるか
公的な窓口と民間のサービスを、順番に使う必要はありません。使うなら、窓口ごとに「何を相談するか」を一つ決めておくと、予定が散らかりにくくなります(編集部の整理)。 どのタイプのサービスが自分に合うか探したいときは、タイプ別・エージェント選び方診断(広告を含むページです)もあります。
第二新卒との境目は、正社員として働いた経験の有無
この記事は、卒業後、正社員として働いた経験がまだない人を想定して書きました。 いったん正社員として入社して、その会社を辞めた人は、状況が違います。経験のある会社が1社だけの人が、転職エージェントにどう伝えるかは、 第二新卒で経験した会社が1社だけ、転職エージェントにどう伝える?に書きました。
アルバイトや契約社員の経験がある人は、どちらの記事も当てはまる部分があります。迷うときは、応募資格の文言と、窓口の対象の書き方を、そのまま読んで決めてください。 なお、「第二新卒」「既卒」という言葉に、国が決めた年数の区切りがあるかは、確認できていません。
まとめ
卒業後の就職先探しは、新卒枠と中途採用の両方の募集を見て、応募資格を一つずつ確かめるところから始まります。国の指針は、既卒者が卒業後少なくとも3年間は新卒枠に応募できるよう「努めること」と示していますが、受け付けるかどうかは企業ごとに違います。 卒業後おおむね3年以内なら新卒応援ハローワーク、ほかにわかものハローワークやサポステという窓口があり、空白期間は事実を4つ並べて話せるよう用意しておけます。 読み終えたあとの机の上には、募集要項の応募資格の欄に自分で引いた線が一本あって、空白期間を書き出した紙には、声に出して読んだときの折り目がついている。閉じてばかりいた「新卒」のタブは、今日は応募資格の欄までスクロールされている。 あなたが最初に確かめるのは、気になる会社の応募資格と、最寄りの窓口の電話番号と、どちらでしょうか。 ほかの就活の悩みから探したい方は、就活・新卒のガイドにも記事をまとめています。
本記事は一般的な情報提供を目的とした編集部独自のコンテンツです。国の指針は、事業主に「努めること」を求める書き方のもので、個別の企業の募集条件や選考の判断を保証するものではありません。 窓口の対象や利用方法は変わることがあります。利用の前に、各窓口の公式ページや最寄りの施設で最新の情報をご確認ください。 心身の不調がある場合は、医療機関などにご相談ください。 選考や就職活動の結果について、特定の結果を保証するものではありません。